結びの文化そのものは世界中にあるようです。日本でも縄文時代の遺跡から蔓を材料に作られた組みひもや腕輪が出土していますし、天平時代の美術工芸品を収めた正倉院に聖武天皇の御物だった結び紐が収蔵されています。現在も身近な水引も、結びの工芸の一種ですね。お隣の韓国にはメドゥプという伝統的な飾り結びがあるそうですし、メドゥプの原型は中国から伝わった中国結びの技法にあるとか。
では、現在に続いているような装飾的な結びとしてのマクラメはというと、発祥地ははっきりしないものの7~8世紀ごろのアラブ文化圏ではないかと言われています。アラブからヨーロッパに伝わり、大航海時代、ヨーロッパから人とものが移動するのに合わせて世界全土に広がっていったと考えられています。
このように世界中で結びの文化が根付き、進化しながら現在まで伝わっている長い歴史の中で、より美しく、個性的に、あるいはより実用的にと工夫を重ねられてきました。ですから、結びの種類はそれこそ数えられないくらいあり、一見しただけではどうなっているのか分からないようなものもあります。
とは言え、もともとは1~数本のひもを結ぶという簡単な動作ですから、やり方が分かればあとはその繰り返しや組み合わせで作ることができます。そのバリエーションは無限と言ってもいいくらい。それがマクラメの面白さのひとつです。
また、HANNAHオリジナルのはなかり作品を作る時には、ご自分でひもやビーズを選ぶ=色を選ぶという工程があります。
色とは、そもそも波長の違う光のこと。光は目から入る栄養素と言ってもいいくらい、からだやこころと深い関係があります。光を医学的な治療に利用した光線療法は、新生児黄疸の治療やうつ状態の改善などに使われています。
色に常に関わっている職業と言えば画家ですが、画家は長寿と言われています。例えばピカソは92歳、ミロは90歳、ダリは85歳まで長生きしましたし、日本人では、平均寿命が50歳にも満たなかった江戸時代に生きた葛飾北斎は、88歳の長生きでした。これも色の効果と言ってもいいのではないでしょうか。
色の持つイメージには多少の個人差はありますが、例えば「赤=情熱、生命力、エネルギー」「青=鎮静、浄化」というように、ある程度共通のイメージというものがあります。ですから色を選ぶ時にはその時の気分・心理が反映されると言われていますが、単に好きな色や身に着けたい色という基準で選んでも良いものです。
はなかり作品を作る時の材料選び=色選びの時間は、みなさん真剣そのもの。組み合わせ、好み、など「なかなか決まらない~」と悩みながらも、とっても楽しい時間でもあります。
歴史が長く、知れば知るほど奥深いマクラメ。マクラメが形作る装飾的な模様や色で自分の個性を表現することができるのが、マクラメの醍醐味です。
(参考文献:『マクラメパターンブック~結んで作るフォークロアデザイン』『光の医学~光と色がもたらす癒しのメカニズム』『心を元気にする色彩セラピー』)
コメントをお書きください